第287回:《探偵》禁断の果実(不倫)の先にあるものは
不倫をしてはいけないということは、誰でも知っていることです。それでも、不倫をしない人がいなくならないのは、いつの世も同じです。
不倫の始まりはいつだと思いますか?
実は平安時代にはすでに不倫がありました。その時代から、不倫をするのは男性だけではなく、女性も不倫をしていたということが、分かっています。
しかし不倫に対する考え方は時代によって違うものでした。
平安時代の不倫は貴族社会でしたが、貴族は見て見ぬふりをしており、比較的自由に不倫をしていました。とはいえ、実際は不倫は姦通罪に当たるため、罰則は2年から3年半の拘束と労役だと言われています。不倫をしている人は、一応表立っては不倫をしているようには見せないのがエチケットというところなのでしょう。
それに対して江戸時代は不倫をすると極刑です。平安時代からだと、江戸時代が一番穏やかだったと言われていますが、江戸時代は不倫をしたら死罪に問われることになるため、それでも不倫をしたい人は周りの目を気にしながら不倫をしていたということです。ただ、本当に命がけだったといえます。
江戸時代の場合は不義密通の罪にあたり、死罪というだけではなく、例えば夫が不倫をしていた場合、妻が夫を殺しても無罪だったからです。それなのに、不倫の数がゼロになる事はありませんでした。死罪になると分かっていても不倫をしてしまうのが、人間の弱さというか、欲望に忠実というか、というところですね。
ただ実際、不倫をしている夫のことを妻が気づいた時に、自分で殺してしまうと、その後、その妻は未亡人になってしまいますし、子どもがいた場合は子どもも一人で育てなければいけません。
妻側が裕福な場合は、不倫をした夫を殺害しても生活はできますが、夫だけが稼いでいる場合は生活ができなくなってしまいます。再婚をしようにも不倫をした夫を殺した妻という風に見られてしまうため、次の男性を見つけることが難しいので、結局は夫が不倫をしていても黙って耐えていたという妻も多くいたのではないかと思います。
ただし首代というものがあり、例えば死罪になった夫が今でいうところの50万円を支払うことで死罪を免れていたという話しもあります。まるで今でいうところの、慰謝料のようなものですね。
ではなぜ、昔から不倫をしてはいけないという法律が存在していたのでしょうか。愛を誓い合った二人だから、というようなロマンティックなものではありません。単純に、女性から生まれてきた子どもが、誰の子どもなのかということをはっきりさせるためです。
日本は昔から血筋を重んじている傾向があります。そのため、別の女性に子どもを産ませたり、夫ではない人の子どもを妻が生んだりすると、血筋をはっきりさせることができなくなるためという側面もあるのではないでしょうか。
ただ明治時代から昭和の戦前までは、夫は不倫をするのがステータスという時代もありました。お妾さんという言葉があり、妻が不倫をするのではなく、夫が正妻以外に女性をかくまうというものです。しかし、正妻との家庭にもお妾さんとの家庭にもお金を入れるのは夫の役目だったため、お金を持っている男性しか不倫は出来なかったと言われています。
もちろん、この時代にもヒモ男は存在していたでしょうから、妾の方が稼いでいて、妾にはお金を入れずに贅沢をしていただけの男性もいたとは思いますが。
そして戦後になると、日本では一夫一婦制が再度言われるようになり、不倫をする人は罰せられるようになりました。とはいえ、戦前を生きていた人や、戦前に妾を持っていた父親を見ていた子どもたちが、妾を持っていた父親に憧れて不倫をするということもあったとは思います。
ただ時の流れとともに、やはり不倫はしてはいけないことという常識を、誰もが心に抱くようになりました。
しかし、令和の時代になっても不倫がなくなることはありません。昔からあったのかもしれませんが、不倫もパパ活やママ活といった新しいジャンルのものも出てきています。パパ活やママ活で一線を越えていなければ、デートをしていても、プレゼントを相手に渡していても姦通罪は適用されません。ですが、一度でも身体の関係を持ってしまうと、姦通罪が適用されるため、パパ活やママ活で良い思いをしているだけだと思っていた側も、相手の配偶者から慰謝料の請求をされてしまいます。
不倫をすれば社会的にも金銭的にも痛手を負うことは、誰もが分かっているはずなのに、なぜか自分だけは気付かれないという自信を持っている人もいます。出会い系の掲示板では、今の時代でも既婚者が掲示板に書き込んで定期の愛人を探していたり、一度だけの関係を持てる人を探していたりします。
不倫の先には幸せはあり得ません。不幸しかないのですが、それを理解していない人が多いのも現実問題としてあります。掲示板で不倫をする相手を探している人は、自分から過失を犯しにいっている人です。もちろん掲示板だけではなく、SNSの裏アカに対してDMを送ってそこから不倫に持ち込む人も同じです。一度の不倫でバレなかったという場合は、何度でも繰り返し、取り返しがつかなくなるまで深みにはまってしまうこともあります。
夫や妻が不倫をした時、不倫をしていない方の配偶者が、そのことにいかに早く気付くことができるのか、ということも大事です。不倫をした方が悪いのですが、相手に対して関心を持っていれば、夫や妻の異変に気付いてあげることも大事なことです。
不倫は早い段階で気づくことで、家族の絆も持ちこたえることができる可能性が高くなります。例えば、先月から不倫をしている人と、2年前から不倫をしている人であれば、前者は話し合いで解決できるかもしれませんが、後者は話し合っても慰謝料や養育費の話しかできないのではないでしょうか。
不倫によって取り返しがつかないところまで進んでしまうその前に、早めに対処をしましょう。夫や妻の行動が少し変かもしれないというだけで、探偵に相談をしてもらっても大丈夫です。相手に不倫をやめさせるには、不倫相手まで突き止める必要がある場合がほとんどですが、白か黒かを判断する時は、不倫相手が誰なのかを突き止めなくてもできるものです。
最近、態度がおかしいと思ったら、なるべく早くに探偵に相談をしてみて下さいね。
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