第216回:イジメの定義はイジメている側には決めることができない
イジメ問題はクローズ問題ということが多いため、学校以外では本当にイジメが行われているのかどうかがわからないというのが、問題です。もちろん、イジメは学校でだけ行われているわけではなく、言い方は変わりますが「嫌がらせ」という名のイジメは大人の世界でも日常的に起きています。
大人のイジメの場合は、会社内だけではなく、PTAの中であったり、ご近所同士の中にあったり、家庭内であったり、様々です。つまり、人が集まればイジメが起こる可能性があるということです。
ただ大人であれば、人に相談ができる可能性が高いのですが、子どもの場合は人に相談ができないことの方がほとんどです。イジメられている側は、イジメられている自分を責めたり、殻に籠ったりして、他人に助けを求めることができません。
世間の風習として、イジメが恥ずかしいのではなく、イジメられていることが恥ずかしいという認識が根付いてしまっているからです。本来であれば、イジメられていることは恥ずかしいことではありませんし、解決しなければいけない問題です。
恥ずかしいという言葉を使うとしたら、イジメている側が恥ずかしい存在です。人をイジメなければ、自分を保てないからイジメを起こしています。誰かをイジメなくても、自分を保つことができれば、そもそもイジメをしたりはしないでしょう。つまり、イジメをしている人間は、未成熟で恥ずかしい人間ということです。
ただイジメの中には、自分を保てないから人をイジメるだけではなく、指導をしてやっているというマインドでイジメを行っている人もいます。これはどちらかと言うと、大人の世界の方が多いかもしれません。指導をしてやっているという考え方も、分解していけば、人を導くこともできないような未成熟な人間の驕りにすぎません。やはりイジメを行っている人は、どういうマインドを持っていたとしても未熟で恥ずかしい存在なのです。
少し話がずれてきたので、戻しましょう。
このコラムでは何度かご紹介していますが、イジメ問題も探偵に相談される方がいらっしゃいます。ホームページにも実際にイジメ問題も対応と書かれている探偵事務所も増えてきました。
イジメ問題での相談をしてくるのは、やはり小中学生の子どもを持つ親です。小中学生の場合、自分がされていることが「なんか嫌だな」と思ったとしても、それがイジメだと判断で来ていない場合があります。特に小学校低学年では、その傾向が強いものです。
中高学年になるとイジメの認識ができてきたとしても、今度は冒頭にも書いたように「イジメられている自分が恥ずかしい」「イジメられている自分が情けない」という気持ちになってしまうため、親や先生に相談ができないというケースがあります。
また先生には相談できても、親には相談できないというケースもあります。相談をした先生が、熱血タイプの先生であれば、イジメについて親に相談をしてくれるかもしれませんが、基本的にはイジメという些細なことを大ごとにはしたくないと思う先生も一定数いるため、勇気を出した先生がどういうタイプだったかによって、子どもが内に籠ってしまう確率が変わってきます。
それでも親であれば、子どもがいつもと違うと感じたり、元気がなくなってきている気がするなど、何かしら感じるでしょう。ですが、子どもに「イジメられているの?」と直接聞くことのできる親は少ないものです。親も「イジメ」がナイーブな問題だとわかっているからです。ただ勇気を持って聞けたとしても、子どもが隠してしまうことも往々にしてあります。
そんな時に、自分の子どもがイジメに遭っているのかどうかを調査してほしいという依頼が探偵事務所にきます。学校の敷地内には入れないのですが、学校以外の場所であれば、探偵も依頼人の子どもの見守りをすることはできます。そこでイジメが行われていれば、証拠写真を撮ることができるので、それを調査報告として提出をさせていただきます。
ただ、「子どもの様子がおかしいから調べてほしい」と言われて調べてみたところ、調査対象の子どもの方が加害者だったというケースもあります。
探偵に調査をしてもらって、イジメられている証拠があれば学校や教育委員会に提出をすれば、何かしらの動きはあるでしょう。ですが、調査をした結果、自分の子がイジメている側だったという証拠が出てしまった場合は、それを学校や教育委員会に提出をする親は稀です。
「イジメられているんだとしたら許せない!」と言っていたのが、「これぐらいでイジメになるなんて、探偵さんも大げさですよ」と言ってくることもあります。
探偵は無償で正義の味方をしているわけではないので、勝手な行動は起こしませんし、依頼人の不利益になることを黙って行ったりもしません。
ただ、イジメ問題についていつも思うことは、加害者側が起きている事象に対して、「これはイジメだ」「これはイジメではない」という判断はできないということです。「そんなつもりはなかった」と言ったところで、被害者側が傷ついているのであれば、それはもう「イジメ」です。「これぐらいで傷付くなよ」「弱っちいな」「そういう行動を起こさせてる方が悪いんだよ」と、周囲がジャッジするのも間違いです。
「これはイジメ」「これはイジメではない」というのを判断できるのは、被害者のみ。これが真理だと思います。
探偵は第三者ですので、起こっている事象に対して「これがイジメの現場だ」とは断定できませんが、あくまで公平な目を持って判断します。
イジメ問題、嫌がらせ問題。どちらも加害者が悪者というだけではなく、恥ずかしい存在だという認識がもっと広まれば、少しは減るのではないかと個人的には思っています。
ただ、「イジメ」の定義をすることができるのは、イジメられている側のみ。というのは事実です。イジメの加害者には何の意見もすることはできない、ということを忘れないでいてほしいと思います。
隠されていることを調査によって暴くのが、探偵の本分です。イジメ問題、嫌がらせ問題でお悩みであれば、ぜひ探偵に相談をしてみて下さいね。
← <探偵コラム目次へ戻る>
東京都調査業協会 苦情相談窓口
〒101-0032 東京都千代田区
岩本町2-6-12 曙ビル402号
TEL:03-3861-2301(代)