東京都調査業協会

探偵コラム

第182回:《探偵》探偵事務所との間に、もしトラブルが起きてしまったら

店側と客側でのトラブルというのは、どんな業種であっても起こるものです。弁護士に相談をしたのに、相談相手の弁護士と揉めてしまう人もいれば、修繕を頼んでいた職人さんと揉めることもあれば、家を借りようとしていただけなのに不動産屋と揉めることもあります。それは、探偵においても同じことが言えます。

ただ、どの業界においてもそうなのですが、揉め事にはいくつかのパターンがあります。店側と客側の間ですれ違いが起きて起こる場合、客側のわがままもしくは勘違いで起こる場合、店側の誠意が足らずに起こる場合。

探偵においても同じです。

ではまず、どういったトラブルの種類があるのかを見ていきましょう。

1つ目。双方の勘違い、すれ違い、誤解が生んだトラブルの形。
探偵と依頼人の間で一番起こりやすいのが、契約後に途中でキャンセルをした場合です。探偵に依頼をし、キャンセルをする場合というのは、依頼人側にとっても初めは考えていないことだと思います。

探偵に依頼をするというのは、追い詰められた状態のことが多く、ここしかもうないと思って相談をしているので、「やっぱりやめよう」と思うことなんてないだろうと思ってしまうからです。

探偵側は、契約を結ぶ前に、依頼人に一応説明はしているのですが、簡単にしか説明をしない探偵事務所もまだまだ存在しています。それ自体は違法ではありません。また依頼人側も、キャンセルした場合よりも、これからのことを知りたいという気持ちが強いため、ちゃんと聞いていなかったりします。

ですが、キャンセルをしたいと思うタイミングというのは、人によって様々ですが、探偵事務所で契約を結んだ時は、これが最善の道なんだ! と思っていても、家に帰ってみると、やっぱりやめておいた方がいいのではという気持ちになってしまうこともあります。

そこで、家に着いてから、探偵事務所にキャンセルを伝えると、キャンセル料が発生しますと伝えられてトラブルになるケースが多々ありました。ここまですぐにキャンセルをしなくても、尾行当日までの間に、気が変わってキャンセルを伝え、キャンセル料が発生すると伝えられてトラブルになるケースもあります。

探偵側がまだ何もしていないのに、どうしてキャンセル料が発生するんだ! ぼったくりだ! と怒り出してしまうのです。ですが、探偵事務所では契約したその時点からキャンセル料が発生するということは、契約書に書いていますし、対面での説明も行っている事務所がほとんどです。

それでも、探偵側はこういうケースが多いことを知っているのであれば、依頼人側にちゃんと理解してもらってから契約書に判を押してもらうべきですし、依頼人側はちゃんと契約内容をキャンセルの項目を含めて理解しておく必要があるので、双方に問題があると言えます。

それでも、契約書にキャンセル料の規定が書かれており、その通りに探偵事務所が行っているのであれば、どれだけクレームを言ってもキャンセル料は発生してしまうという現実があるので、ご注意ください。

次に依頼人側の問題でトラブルになるケースは、対象者に探偵を雇っていることがバレて、関係が悪化してしまった時です。探偵が対象者を尾行している時にバレてしまったのであれば、探偵が悪いのですが、そうではなく依頼人側の不注意でバレてしまうこともあります。

例えば、探偵との間に交わした契約書を入れている袋を見られてしまったり、自分で何か証拠を探そうとして不用意な言葉を言って警戒され、探偵を雇っているんじゃないかと聞かれたり、いつも通りの行動ができずに怪しまれてしまったり。

基本的には、探偵を雇っているということが対象者にバレてしまうと、証拠を得ることが難しくなってしまいます。不倫をしていても、尾行されていないかと警戒心が強くなったり、そもそも不倫相手とはメールや電話だけで済ませて、今は会わないようにしようという風に約束を不倫相手としてしまう可能性が非常に高いからです。

そうなると、例え尾行をしたとしても料金がかさむだけで、証拠を得られる確率が低くなります。そこで依頼人側が、探偵社側に対してクレームを言ってくる場合もあります。ですが、これは探偵側には落ち度がありませんし、探偵にはどうすることもできません。

対象者に、探偵がいるということがバレると、尾行の難易度は高くなるのですが、対象者がそれでも問題の行動を取ってくれているのであれば、証拠を掴んでくる可能性はゼロではありません。プロの探偵は、どんなに相手が鋭い人物であっても、調査のプロのため、そこは安心をして任せてみるのもいいでしょう。

次に、探偵側の問題でトラブルになるケースです。これは、調査をする探偵が新人だったために、問題を起こしてしまうということも稀にあります。新人の探偵は、基本的には一人で行動をしないので、ベテランがサポートをしたりするのですが、それでもダメな場合はあります。そういった場合は、依頼人側が強く出ても問題はないでしょう。

ただ、そういった探偵側の問題ではなく、探偵の倫理に対する問題がある場合があります。それは「探偵」と名乗っているにもかかわらず、探偵の届出を公安に出していない事務所にあることなのですが、初めから依頼人からぼったくろうとしていたり、騙そうとしていたりするケースも存在しています。

例えば、調査費用に関しても、わかりづらい説明をして、調査が終わってから依頼人に対して莫大な調査費用を請求する、ということもあります。その計算方法が、契約書に乗っているのであれば、それに判を押してしまった時点で、依頼人は支払うしかありません。

相手の倫理観に問題があっても、契約書という正式な手続きを踏んでいればどうすることもできないということは覚えておきましょう。ただ、倫理観に問題のある事務所では、そもそも契約書を交わしていない場合もありますので、そういった場合は何とかなる可能性もあるので、諦めないようにして下さい。

以上のような問題が、探偵と怒ってしまった時、消費者センターに連絡をする方もいるのですが、当協会のような探偵協会でも苦情の電話を受け付けていますので、何かあった場合はお気軽に連絡をして下さいね。

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