第91回:《探偵》昭和・平成・令和。時代が変わっても消えない探偵という職業
時代の流れによって、消えていく職業もあれば、新しく生まれる職業もあります。時代をさかのぼれば、さかのぼるほど、今の時代には即していない職業や必要がない職業、職業としては成り立たず趣味になってしまった職業もありますよね。
例をいくつか挙げてみましょう。江戸時代までさかのぼってみると、武士として生きていた者たちが、浪人になり、傘を作ったりしているというのも、よくテレビドラマで見かけます。
これまでは、不安定な情勢だったからこそ、力のある者が雇われて用心棒になり、お金を稼ぐことができましたが、時代が平和になってくると、用心棒というものは不要になってきます。もちろん、完全にいなくなることはありません。どんな時代でも、身の危険があるような悪いことをしている人たちがいるためです。
もう少し最近の時代にまで戻ってきましょう。
例えば昭和。
様々な職業が生まれました。
例えば「紙芝居屋」「チンドン屋」「竿竹屋」というのは、一般的な職業でしたが、平成生まれの子どもたちにしてみると見たことのない職業だったりします。
他にも書生やキーパンチャー、ワードプロセッサー操作員、ミシン販売員、速記者学校講師、タイピスト、場立人などが現在では、職業としては成り立たないものです。
もしかすると、聞いたことがない職業もあるかもしれませんね。
平成の間に消えた職業は、この他にも絹織物買継人、牛馬仲介人、電話売買仲介人などがあります。
一般的な職業に含まれていないかもしれませんが、これらの職業は昭和の時代には必要不可欠な職業でした。
そんな中で、「探偵」も歴史は古く、昭和の頃には日本でも多くの探偵が活躍しています。
ですが、探偵業は令和になっても残っているというのは何故だと思いますか?
悩みを抱えている人が減らないからという理由だけではありません。悩みを抱えている人たちを癒すための職業は色々ありますが、事実を正確に把握するために調査をする人というのが、探偵以外に存在しないからというのも、残っている理由の一つでしょう。ですがそれだけではないと思っています。
探偵は時代によって少しずつ形態を変えています。使っている道具も違いますし、調査の方法も変えていますし、新しい分野が生まれた時には、その分野を理解するために勉強し自分のものに取り入れたりもします。
例えば、依頼人に提出する報告書。
日本で探偵が活躍し始めた頃にはビデオどころか、小型のカメラもありませんでした。また、今では簡単に買える道具も売っていません。
では探偵はどうしていたのでしょうか?
裏ルートで改造版を作っている職人と手を組んだり、自分で道具を作ったりしていたのです。探偵は誰でもなれると思われがちですが、一般の人が知らないような知識を持ち合わせていなければ、調査をすることができなかったのです。
そして、小型のカメラが出始めてくると、ビデオという存在が出始めてきます。
はじめはお金を持っている人たちが個人用に持っているというぐらいの時から、探偵はビデオも手に入れます。カメラの時と同じで、裏ルートで購入したり、自分で作ったり、それは探偵の個性によって違います。
ただ道具があれば、誰でも証拠写真や証拠映像を撮れるのかと言うと、もちろんそうではありませんよね。
探偵でなくてもわかることだと思いますが、カメラで撮影をしようとすると、慣れないうちは上手く取れないものです。使っているうちに慣れて綺麗な写真が撮れるようになってきます。
探偵も同じです。新しいものが開発されたら、これでどういった証拠を撮れれば依頼人の役に立つことができるのかを考えて勉強をしています。
そして時代は流れ、IT時代に突入すると、依頼人からの相談内容も変わってきます。
これまでは浮気調査や信用調査などが主流だったのに、SNSによる被害などが出てきて、そういった関連の相談も持ち込まれるようになりました。
依頼人が「SNSで困っていて…」と言ってきたのに、探偵が「SNSって何?」なんて返事をするなんてことはありえませんよね。もし、そういった探偵ばかりであれば、探偵業界もいずれ淘汰される業種に入ってしまうでしょう。
ですが、探偵はSNSが普及し始めた頃から、いずれそういった相談も持ち込まれるようになるはずだと目星をつけて、依頼人が来る前に勉強をし始めます。
実際に依頼人から相談を持ち込まれた時には、「最近はSNSで悩まれている方も多くいらっしゃいますよ」と言って、依頼人を安心させるような言葉を話すのです。
探偵は基本的に、一般的に普及される前の状態から、次はこれが来ると思い先に勉強をし始めています。
悩みが生まれる一歩前の状態から、新しいものを取り入れていくので、常に依頼人の一歩先にいる状態です。それは決して楽なことではありませんが、そう言った努力をし続ける探偵が多くいるからこそ、探偵業は令和になっても存在しているのでしょう。
もしあなたに悩んでいることがあって、「こんなこと探偵に話してもきっとわからないよね」と思うようなことがあっても、勇気を出して相談をしてみてください。
ITに特化した探偵もいるぐらい、最先端のことに精通しています。自分では大したことがないと思っていることでも、放っておくと大問題につながるようなことという可能性もあります。
昭和の時代であれば、問題が起きても、それが広がるスピードはとてもゆっくりでした。一部の人だけが知っているということが多かった時代とも言えます。
ですが今の時代は、そうではありません。
問題を抱えていても、黙っていればそのうち解消すると思っていたら、SNSなどで一気に拡散してしまい取り返しがつかない状態になることもあります。
令和が始まってからまだ1年は過ぎていませんが、令和の時代も恐らく文明はどんどん発展していくでしょう。すでにそういった風潮もありますが、ドローンやAIの普及はさらに広がり、新たな悩みが出てくるかもしれません。
でも安心してください。探偵はいつも依頼人の一歩先以上前を歩いていますので、どんな相談でもお答えできます。
悩み事があれば迷わずにいつでもご連絡くださいね。
お待ちしております。
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