第54回:《探偵》探偵事務所に行く前に準備をしておいた方がいいこと
皆さんは、探偵に依頼をすれば、自分自身は何もしなくても情報を探してきてくれると思っていませんか?
「事前準備」と聞くと、これまでこのコラムでも書いてきたように、探偵の見分け方のことを言っているのかな、と思ってしまいがちですが、そうではありません。
確かに、世の中にはまだまだ悪徳探偵といわれるグレーゾーンや限りなく黒に近い探偵もいるので、見分けるための準備は必要です。
ですが、依頼する探偵がホワイトであればあるほど、正攻法の調査をするため、どうしても依頼人の協力が必要になってきます。
協力と言っても、探偵と一緒になって調査に加わるというようなことではありません。
必要なのは情報です。
「え?」
と思われる方がいるかもしれません。
情報は探偵が調査で調べて報告書を出す、というのが流れだからです。
ですが、探偵が必要としているのは「事前情報」。
事前情報とは、
対象者の風貌が分かる写真、普段乗っている車の車種とナンバー、趣味嗜好などです。
これにプラスして、
どんな調査を行うのかで、必要なものが変わってきます。
例えば信用調査であれば、事前に欲しいのは以前勤めていた会社や今勤めている会社の名前(依頼人が雇い主であれば、社内での勤務態度)、自宅の住所などがあると、探偵も調査をしやすく、依頼人が求めている結果を出しやすいと言えます。
ただ信用調査では、何を特に知りたいのかのヒアリングから入らせていただきますので、それによっては他にもこういった情報をください、ということを言うかもしれません。
他にも浮気調査の場合であれば、
共通の情報だけでもいいのですが、もし浮気相手が対象者の会社の人物なのか、キャバクラの人物なのか、対象者の趣味の仲間なのかなどの目星がついていれば、それも伝えてもらうと、調査は一層スムーズになります。
また、たまにではありますが、
「うちの旦那の浮気相手を探ってほしいの」
と言いながら、出された写真が明らかに隠れて撮った写真の場合があります。
本当に夫婦であるなら、1枚ぐらいはちゃんとしたものがあるはずです。
対象者との関係が何年もの間冷えていて、昔の写真しかないというのであれば、まだわかります。
ですが、1枚もないというのは不自然ですよね。
探偵は基本的に依頼人の味方ですが、通常の依頼人と違う行動パターンを取っている依頼人に対しては、様子を伺いつつ依頼自体をお断りすることもあります。
探偵に問題がある場合もありますが、依頼人に問題がある場合もあるためです。
探偵は公安から承認を取って、調査ができる立場です。そのため、不正な案件を受けるわけにはいきません。
たまに探偵=闇稼業と勘違いしている方がいらっしゃり、問題発言をされる人もいます。その場合は、丁重にお断りをしています。
話を戻しますが、結婚相手の浮気調査の場合、
もう一つ、依頼人にしてもらっていることがあります。
それは情報の提供ではなく、
調査の協力です。
警戒心の強い対象者であっても、浮気の証拠を出しやすい状況に追い込むということ。これは、依頼人に協力してもらわないと出来ません。
まずは警戒心を弱める必要があるのですが、対象者が警戒心を弱める時とは、どういう時だと思いますか?
対象者が一番、警戒している相手を考えると簡単です。
それは、依頼人自身とその家族。なので依頼人には、対象者を残して、家族と一緒に出掛けたり、できれば一泊をしてもらいます。
家族が1日、もしくは1泊いないとなると、対象者が次に警戒するのは近所の人ですが、最近は近所づきあいをされている家が少ないため、それほど警戒もしていません。
そうなった時の対象者の行動は、浮気相手の家に行くか、ホテルに行くか、自分の家に招き入れるかです。
対象者と浮気相手の関係性にもよりますが、対象者から見て浮気相手が遊びであれば、家に呼ぶということはしないでしょう。もしかすると、自分の家の住所を教えていない可能性もあります。
ですが信頼している場合は、家の住所を教えているので、呼ぶ可能性も…。依頼人からすると、信じられないことかもしれません。
ただこの時に、決して行ってほしくないのが、依頼人自身も対象者を張ろうとしないことです。
「私のいない隙を狙って、浮気をするなんて…!」
という気持ちは分かりますが、証拠をつかむためには探偵の言うとおりに動いてください。
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こんな風に、信用のできる探偵を見つけて、依頼することを決めたとしても、依頼人自身にもしてもらいたいことがあります。
依頼人の中には、
「調査をするのが、あなたたちの仕事でしょ」
と言って、事前情報も不十分なままで進めさせようとする方もいらっしゃいます。
(不十分でも依頼人が不正をするために来たわけではないと判断した場合は、依頼を受けます)
もちろん調査のプロが探偵ですので、事前情報が不十分だったとしても、調査ができなくなるということはありません。
事前情報があった方が、早い段階で証拠を取ってくることができるということです。
調査する時間が長引くと、当然、調査費用も上がってきますので、依頼人にとっても探偵にとっても良いことではありません。
ただ、依頼をする側に知っておいてほしいのは、ここで上げたようなことを探偵が依頼人に聞いてくることはありますが、
聞かれたらなんでも答えるスタンスは控えた方がいいと言えます。
探偵から、こういった情報が欲しいと言われたら、「その情報は何に使う情報ですか?」と聞いてください。
「調査に使うためですよ」だけしか返ってこないなら、教える必要はありません。
例えば、「対象者の写真が欲しい」と言われて、「何に使うのですか?」と聞くと、「尾行をする際に、対象者かどうかを判断するために使います」と答えるのが正しい状態です。
こういう説明をしてもらえれば、依頼人側も「なるほど、確かに必要だな」と思い、写真を貸すことができます。
でも、「なるほど」と思えないような説明をしてくる探偵の中には、依頼人を騙そうとして色々な情報を抜き出そうとする人もいますので、そこだけは注意が必要です。
多額のお金を支払って、自分の情報も売ってしまったということになりかねませんので。お気を付け下さいね。
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