第47回:《浮気》間違いだらけの探偵の常識~浮気調査書の報告書
一昔前に比べると、探偵業も随分と一般化されてきました。それでもまだ、探偵に対する認識は、本当の探偵と比べると別のものということが多々あります。ただ、探偵に対するイメージが本来と違うだけなのであれば、問題はないのですが、成果物に関しての認識も違うというのは問題です。例えば、浮気調査書に対しても、認識のずれがあるように感じています。
旦那が浮気をしているかもしれない、妻が浮気をしているかもしれないと思った時、勇気を振り絞って探偵社に訪れる依頼人。
せっかく調査を依頼するのですから、変な探偵に捕まらず失敗がないようにしたいというのが正しい気持ちでしょう。
ネットでも口コミを確認し、HPも綺麗で何となく安心できそう、探偵業の届出番号を調べてみてもトラブルはなさそう、電話で話をしてみても安心できそうな声だった。となれば、この探偵社に依頼しようかなと思いますよね。
そして、実際に会ってみても、悪い人ではなさそうだし、料金体系もわかりやすく説明してくれて、これなら契約しても大丈夫かな思ってしまう依頼人……と、本当にそうでしょうか?
確かに、口コミや届出番号を調べて、悪いうわさが出てこないなら問題は起こしていないのかもしれません。ですが、もしかしたら、その探偵社はできてから日が浅く、苦情が出てきていないだけという可能性もあると思いませんか? それに、ネット上に書かれている悪い口コミは、消したという可能性もあります。
また、これまでも問題はあったものの、依頼人たちが苦情を出さなかっただけということも考えられます。
それじゃあ、浮気調査を依頼するとき、何を確認すればいいのでしょうか?
元依頼人を探し出しますか? それとも、探偵を尾行してみますか?
そんなこと、できませんよね。ですが、元依頼人を探し出すというのに近いことならできます。それは、報告書サンプルを見せてもらうことです。
報告書なんて大事なものを、見せてもらえるはずがないと思っている方も多いのですが、報告書は探偵に依頼して出してもらえる、いわば商品です。その中身を確認できないなんてこと、普通はあり得ません。
もちろん、創立したての探偵社や依頼人に聞かれたことがないから用意していない探偵社もあります。ですが、親切な探偵社であれば、依頼人から聞かなくても、「調査が終わったらこのような形で報告書を出させていただきます」と言って、報告書サンプルを見せてくれるものです。
先にも言いましたが、依頼人にとってお金の対価としてもらうのは報告書です。探偵が何人を使って調査をしたかということではありません。調査の時間が短くても、長くても(長さによって金額は変わりますが)、最後に渡される報告書に何が書かれているのかというのが重要なはず。
なのに、その報告書を「見せてください」と言わない依頼人が多いことが気になります。契約書はしっかり読み込んでいるのに、報告書を見ないなんて本末転倒。ですがこれは、探偵に対する間違った常識が引き起こしていることでもあります。
探偵は長らく秘密業と揶揄されるような職業とされてきました。そのため、どんなふうに依頼して、お金を払い、どんな結果が戻ってくるのかが何となくしかわかっていないのです。
今回は浮気調査に特化して書いていますが、浮気調査を依頼して探偵から出してくる報告書は、離婚をすると決めた時に使える大事なものです。
この報告書があるから、無事に離婚できた。
きちんと慰謝料を請求できた。
ということもあります。というより、何のために探偵に浮気調査を依頼するのか、ということもしっかりと考えておく必要があるでしょう。
世の中には、残念ながら非合法の探偵や依頼人を騙す探偵が潜んでいます。当協会では、そういった探偵に依頼人が騙されないように努めてはいますが、悪知恵が働く探偵を一掃することが、なかなかできません。
一般企業であれば、何か不祥事を起こせば、世間やメディアから袋たたきのような状態になって、廃業に繋がりますが、探偵は不祥事が起きても、よほど大きな事件にかかわっていなければ取り上げられることもない業界。もちろん探偵業界では、「A社は落ちぶれたよね」「最近B社は頑張ってるんじゃない」というような話はしますが、一般の人がそんな話をしているところは聞いたことがありません。
どうしても探偵社に頼む内容が、公にはしたくないことがほとんどだからでしょう。そのため、良い探偵社を残して、違法な探偵社をなくしていくには、依頼人の探偵に対する常識を変えていく必要があると思いました。
こんなことを言っても失礼じゃない、これを聞くのはタブーだということを理解し、依頼人自身に探偵社を見極めてもらう必要があります。
ここでは、そのために必要になる正しい常識をお伝えしていきますので、しっかりと探偵に対する知識を身につけてくださいね。
今回の<探偵に対する常識、浮気調査の報告書>
依頼をするかどうかを決める時は、探偵に報告書サンプルを見せてもらう。ないと言われたら、どんな項目について結果を出してくれるのかを深く聞き取り、音声を録音しておいてください。
報告書サンプルがあった場合も、報告書サンプルがなく、言葉でしかどういった内容のものが書かれているのかを録音した場合も、実際に出てきた報告書と照らし合わせてみて下さい。足りないものがあれば、追加料金を支払わずに、報告書に不備があると言って突き返しましょう。
もし報告書不備があるのにも関わらず、対応してもらえない場合は当協会にお問い合わせください。どちらの言い分が正しいのかをジャッジした上で、探偵社に対してそれ相応の対応をさせて頂きます。
探偵に依頼した報告書は裁判でも使うことができます。離婚調停を有利にするためにも、内容の薄い報告書を書く探偵ではなく、内容の濃い報告書を書く探偵を選びましょう。(悪徳探偵、良い探偵に関わらず、報告書を書くのが苦手な探偵もいますので、人柄だけでは判断できない部分でもあります)
どういった内容の報告書がよいのか、また反対に悪いのかがわからない方もいらっしゃると思いますので、またこのコラムにて書かせていただきます。
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