第33回:探偵業法とは
探偵業の基本法は、「探偵業の業務の適正化に関する法律(略称―探偵業法)」です。この法律は探偵業者等が行う探偵業務について規制を定めたもので、探偵業務全般の適正な運営を図ると共に個人の権利利益を保護する目的で制定された法律であり、探偵業に関する規制法です。
探偵業法の成立経緯と探偵業法ならではの特徴点が顕著な条文を選択し若干の解説を附して記述しました、探偵業を理解して戴く一助になればと思います。
1 探偵業法の制定年月日等
名 称 探偵業の業務の適正化に関する法律
成立年月日 平成18年6月2日
交付年月日 平成18年6月8日 法律第60条
施行年月日 平成19年6月1日 平成18年 政令366号
これまで日本には、調査業・探偵業・興信所と称する業務を規制する法律はありませんでした。これらのうち探偵業について探偵業法が制定され平成19年6月1日施行されています。
2 探偵業法制定の背景
探偵業法制定以前の平成15年12月末に警察庁が調査した結果によると全国の調査業者・興信所・探偵社・その他の名称を問わず
① 特定の個人及び団体の信用、資産、所在、経歴その他の事実を調査し、報告する業務
② 特定の事件又は事故の原因を調査し、報告する業務
③ 特定の盗品又は遺失物の所在を調査し、報告する業務
の数は5,110業者であり、この業者数は調査を開始した、平成6年の2,348業者から右肩上がりに増加しています。
これら増加現象の理由はその当時の社会情勢を反映したもので
① 離婚の増加~浮気調査・素行調査
② 家出の増加~家出人調査
③ 急速な訴訟及び紛争社会化~各種の調査
などが考えられると思います。
このように「探偵」の数の増加に伴いトラブルも増加しています。
国民生活センターに寄せられた「探偵」・「興信所」に関する苦情相談の件数を見ると、平成12年度が844件であったものが、平成15年度には1,357件と、二倍近い伸びを示しています。
また、警察庁が作成した「探偵業に係る犯罪の検挙事例」によると「探偵」が関与した犯罪の検挙事例も相当数あり、その中には盗聴や恐喝罪など悪質な事例も散見されます。
このような「探偵」によるトラブルは、二つに分類することが出来ます。
一つは、「探偵」と「依頼者」間のトラブル
「依頼者」から依頼された事案をネタにして何らかの利益を得るために犯罪を企図(例えば恐喝等)するなどは稀としても、「依頼者」との契約や解約を巡る金銭トラブルは相当数に上がっています。
二つは、「探偵」と「調査対象者」間のトラブル
調査の過程で住宅やビルなどに侵入する、又は違法な手段による写真撮影や盗聴など、「探偵」による調査が、調査対象者または周辺居住者等の「生活の平穏を害する行為」に及びこれらに対する苦情も増加しています。
このように、「探偵」が関与するトラブルは、急速に増えており、何らかの対策を必要とする社会的要請があったと認められます。
3 探偵業法の制定
「探偵」を巡る以上のような状況下、平成16年11月26日開催の内閣部会で立法化が提案され、正式に「探偵業」の規制に関する立法化を検討することが了承されています。それ以降諸々の質疑や検討が行われ後、国会での審議を経て「探偵業の業務の適正化に関する法律」が平成18年6月2日成立しています。
4 探偵業法の概要
探偵業法制定までの経緯はこれまで述べたとおりですが、この法律で規定されている探偵業務の条文の中から基本的な条項を抽出し、若干の解説を加えてみました。探偵業法の一部分でも知っていただければと思います。
(1) 目的
第1条 この法律は、探偵業について必要な規制を定めることにより、その業務の運営の適正を図り、もって個人の権利利益の保護に資することを目的とする。
第1条は、この法律の目的を定めています。
条文には「探偵業について必要な規制を定める」としており、この法律が探偵業に対する規制法であることを明確にしています。そして後段で、「個人の権利利益の保護に資することを目的とする」と謳われているとおり、探偵業を振興するために制定されたものではなく、消費者の保護や人権擁護に資するために制定されたものであることを明らかにしています。
(2) 定義
第2条 この法律において「探偵業務」とは、他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する義務をいう。
第2条は、「探偵業務」の定義を定めている。
探偵業法は、従来の「調査業務」全てを対象とするものではなく、個人の権利利益を保護するため特に規制が必要な業務形態のものに限定し明確に定義しています。
従って探偵業法に規定する「探偵業務」については次の要件を設けています。
① 「他人の依頼」を受けて行われる請負業務である。
ア 他人とは個人・法人を問わない
② 「特定人の所在又は行動について情報を収集する」業務である。
ア 特定人の人とは個人だけでなく法人も含まれる
イ 所在又は行動とは過去・現在・未来の所在又は行動である
ウ 所在又は行動だけでなく、勤務先・所属団体等についての情報や素行一般の情報が含まれる
③ 収集する情報が依頼の中で特定されている業務である。
ア 調査の対象となる個人又は法人は、依頼の中で、特定されている必要がある。
例えば、「名前は分らないが最近つきまとって来る中肉中背・年齢不詳の男性」とか「毎週木曜日の深夜、門扉の前にゴミ袋を投げ捨てていく人物」等
イ 当該他人がその特定人について、「所在又は行動についての情報」を調査してほしいと依頼していることが必要である
④ 面接による聞込み・尾行・張込み・その他これに類する方法による実地の調査を行う業務である。
ア 情報収集の手段方法が、聞き込み・尾行・張り込み・その他これに類する方法と規定されている
イ 類する方法とは、現場に出向いて行われる調査(実地の調査)の手法であって、例えば、秘匿性のあるカメラを設置し、その記録内容を解析する方法がこれに該当する
ウ 従って、単に電話や手紙による問合せ・インターネットを用いた情報の検索のみによる調査を行う業務は探偵業務に該当しない
⑤ 探偵業務は、その調査結果を当該依頼者に報告する業務である。
ア 「依頼を受けて行う実地の調査」と「調査結果の依頼者への報告」とが一体となって行われる業務である。
イ 従って、実地の調査により個人の所在又は行動についての情報を広く収集し、ベーターベースを構築しておき、そのデーターを依頼に応じて提供するような業務は探偵業務に該当しない。
探偵業法で定義する探偵業務とは、この5項目の要件をすべて満たした業務ということになります。
第2条第2項 この法律において「探偵業」とは、探偵業務を行う営業をいう。ただし、専ら、放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関(報道(不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせることをいい、これに基づいて意見又は見解を述べることを含む。以下同じ。)を業として行う個人を含む。)の依頼を受けて、その報道の用に供する目的で行われるものを除く。
この条項は探偵業法の規制から報道機関を除外することを目的に設けられたものです。
① 「営業」とは、営利の目的で同種の行為を反復継続して行うことを言う。
② 「探偵業」には、「専ら、報道機関の依頼を受けて、その報道の用に供する目的で行われるもの」は除外されるが、これは「報道の自由」を尊重する観点から、報道機関からの依頼を受けることを「専業」としているものを探偵業としての規制からのぞく趣旨であり、報道機関からの依頼のほか、報道機関以外の者からの依頼も受けているような場合は、除外されない。
③ 「報道機関」には、「報道」を行う出版社が含まれ、また、個人の作家・著述家・フリージャーナリスト等が含まれる。
第2条第3項 この法律において「探偵業者」とは、第4条第1項の規定による届出をして探偵業を営む者をいう。
と規定されており、探偵業務開始前における届出を規定している。
探偵業法第4条第1項では、探偵業を営もうとする者は営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会に、
一 商号、名称又は氏名及び住所
二 「営業所の名称及び所在地並びに当該営業所が主たる営業所である場合にあっては、その旨
三 第一号に掲げる商号、名称若しくは氏名または前号に掲げる名称のほか、当該営業所において広告又は宣伝する場合に使用する名称があるときは、当該名称
四 法人にあっては、その役員の氏名及び住所
と規定されており、探偵業を営もうとする者は事前に営業所を管轄する都道府県公安委員会に届け出る必要があります。
(3) 探偵業務の実施の原則
第6条 探偵業者及び探偵業者の業務に従事する者(以下「探偵業者等」という。)は、探偵業務を行うに当たっては、この法律により他の法令において禁止または制限されている行為を行うことができることとなるものではないことに留意するとともに、人の生活の平穏を害する等個人の権利利益を侵害することがないようにしなければならない。
第6条は、探偵業者等に対し、何らかの権限を付与しているわけではないことを明確にしています。
この規定を置かなくても探偵業者等が「他の法令において禁止され又は制限されている行為」を行うことが出来無いことは言うまでもなく常識的なことであります。それにも関らず敢えて規定されたのは探偵業者等へ法令遵守を強く喚起したものと認められます。
① 探偵業者等の業務とは、探偵業務よりも広く、法文上は、探偵業に係る経理・庶務などの業務を含む。ただし、本条は、「探偵業務を行うに当たっては」と規定しており、基本的には、「探偵業務」を行う者に対する規制となっている。
「業務に従事する者」は、「従業者」とほぼ同旨であるが、先に述べたように、個人事業者も含まれる。
② 「この法律により他の法令において禁止または制限されている行為を行うことができることとなるものではないことに留意する」とは、探偵業者等が探偵業務を行うに当たり、この法律によって、特別の権限を与えられるものではなく、探偵業務であることを理由に正当な業務行為として違法性が阻却されるものではないことを注意的に規定したものである。
③ 「他の法令において禁止されている行為」には、例えば、刑法上の犯罪行為(例:調査対象者を見張るため、付近住民宅の敷地に許可なく入る行為等)、電気通信事業法違反の行為(例:調査対象者の電話を盗聴する行為)等が該当する。
④ 「他の法令において制限されている行為」には、例えば、住民基本台帳法において制限されている行為(例:他人の住民基本台帳を勝手に閲覧する行為)、個人情報の保護に関する法律において制限されている行為(例:個人データーを第三者に提供する行為等)等が該当する。
⑤ 「人の生活の平穏を害する等個人の権利利益を侵害することがないようにしなければならない。」に違反した場合には、本法律に定める指示等(行政処分)の処分対象となる。
⑥ 「個人の権利利益を侵害すること」には、刑事上の違法な行為のほか、民法上の不法行為に該当する行為が含まれる。
(4) 書面の交付を受ける義務
第7条 探偵業者は、依頼者と探偵業務を行う契約を締結しょうとするときは、当該依頼者から、当該探偵業務に係る調査の結果を犯罪行為、違法な差別的取扱いその他の違法な行為のために用いない旨を示す書面の交付を受けなければならない。
第7条は過去において、報告した調査結果が犯罪行為やその他の違法な行為に利用された実例があったことから、これらを防止する目的で規定されたものです。従って依頼して来た者が「違法な行為のために用いない旨を示す書面の交付」に応じない場合は探偵業務を行う契約が出来ないことになります。
① 第7条は、依頼者に対してではなく、探偵業者に対して義務を課したものであり、違反した場合は行政処分の対象となります。
② 「犯罪行為」とは、刑法に限らず、刑罰法令に違反する行為をいいます。例えば、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律第10条第1項に基づく保護命令に違反する行為等が該当します。
③ 「違法な差別的取扱い」とは、例えば、労働基準法において禁止されている労働条件の差別的取扱い等をいう。
④ 「違法な行為」とは、刑事又は民事の別を問わず、違法と評価される全ての行為をいう。
第7条に関連した第9条では、
探偵業者は、当該探偵業務に係る調査の結果が犯罪行為、違法な差別的取扱いその他の違法な行為のために用いられることを知ったときは、当該探偵業務を行ってはならない。
と規定おり、依頼者が違法な行為のために用いる意図を隠して契約した場合、または契約後に違法な行為のために用いる意図を生じたことなどが発覚した場合などに対処する条文です。探偵業者は、依頼者がこれらの意図を有することを知った場合には当該探偵業務を中止しなければならないことになります。
(5)重要事項の説明等
第8条 探偵業者は、依頼者と探偵業務行う契約を締結しようとするときは、あらかじめ、当該依頼者に対し、次に掲げる事項について書面を交付して説明しなければならない。
過去に発生した探偵業者と依頼者間のトラブルの原因が、調査料金・調査事項・調査期間・調査結果報告時期・調査契約の解除などであったことから、これらトラブルの発生を抑止する観点から、探偵業務契約を行う前に重要事項について書面を交付して説明しなければならない旨が規定されたものです。
重要事項とは、
① 探偵業者の商号、名称又は氏名及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
② 第4条第3項の書面に記載されている事項
(都道府県公安委員会から交付された探偵業届出証明書に記載されている「開始届出証明書番号 第00000000号」を指す)
③ 探偵業務を行うに当たっては、個人情報の保護に関する法律
(平成15年法律第57号)その他の法令を遵守するものであること
④ 第10条に規定する事項 (秘密の保持等)
⑤ 提供することができる探偵業務の内容
⑥ 探偵業務の委託に関する事項
⑦ 探偵業務の対価その他の当該探偵業務の依頼者が支払わなければならない金額の概算額及び支払い時期
⑧ 契約の解除に関する事項
⑨ 探偵業務に関して作成し、又は取得した資料の処分に関する事項
第8条第2項 探偵業者は、依頼者と探偵業務を行う契約を締結したときは、遅滞なく次に掲げる事項について当該契約の内容を明らかにする書面を当該依頼者に交付しなければならない。
第2項では、第1項を受けて、依頼者と探偵業務を行う契約を締結した場合は遅滞なく当該契約の内容を明らかにする書面(調査を委任する契約書)を交付することが規定されています。書面の記載事項は次のとおりです。
① 探偵業者の商号、名称又は氏名及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
② 探偵業務を行う契約の締結を担当した者の氏名及び契約年月日
③ 探偵業務に係る調査の内容、期間及び方法
④ 探偵業務に係る調査の結果の報告の方法および期限
⑤ 探偵業務の委託に関する定めがあるときは、その内容
⑥ 探偵業務の対価その他の当該探偵業務の依頼者が支払わなければならない金銭の額並びにその支払の時期及び方法
⑦ 契約の解除に関する定めがあるときは、その内容
⑧ 探偵業務に関して作成し、又は取得した資料の処分に関する定めがあるときは、その内容
(6)秘密の保持等
第10条 探偵業者の業務に従事する者は、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。探偵業者の業務に従事する者でなくなった後においても、同様とする。
探偵業は、その業務上依頼者のプライバシイーに関係した問題に接することが多く、また調査の結果も調査対象者などの個人的な秘密に属することが多い。探偵業務を行う過程で知り得たこれらの秘密を軽々に漏洩する行為は、適正な探偵業務が阻害されると同時に、依頼者や調査対象者などの権利利益が侵害されるおそれがあり、探偵業者の業務に従事する者に対し守秘義務を課し探偵業務の適正な運営を図ろうとするものです。
① 「探偵業者の業務」には、探偵業務のほか、同業務を行う上で必要とする庶務・経理等の諸業務が含まれます。
② 「業務に従事する者」には、常用・臨時を問わず、探偵業と雇用関係にある者のほか、業務に従事する役員・業務の一部を手伝う家族・第三者から派遣された者が、庶務・経理等を行う場合における当該派遣社員等が該当します。
③ 「正当な理由」がある場合には、例えば、法令上の通報・報告する義務を負う場合、訴訟手続上の証人として証言しなければならない場合、依頼者本人が承諾した場合等が該当います。
第10条第2項 探偵業者は、探偵業務に関して作成し、又は取得した文書、写真その他の資料(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録を言う。)を含む。)について、その不正又は不当な利用を防止するため必要な措置をとらなければならない。
第2項は、資料の不正又は不当な利用を防止するため必要な措置を規定したものです。例えば、資料(電磁的記録を含む。以下同じ)の保管方法、資料を取り扱うことが出来る者の範囲、資料の持ち出しの手続、資料を複写する場合の手続、廃棄方法、情報セキュリティーの確保等について適正に管理されている必要があります。
また、その実効性を担保するため、必要な規模の整備や物的措置(例:鍵のかかる保管庫、セキュリティー措置が講じられているパソコン等)が講じられている必要があります。
(7)報告及び立入検査
第13条 公安委員会は、この法律の施行に必要な限度において、探偵業者に対し、その業務の状況に関し報告若しくは資料の提供を求め、又は警察職員に探偵業者の営業所に立ち入りし、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
前述のとおり探偵業法は規制法です、公安委員会は探偵業者がこの法律を順守しているかを確認するため、報告を求めたり立入検査することが必要になります。第13条は、これらの報告や立ち入り検査の実行性を担保するための条文です。
営業所の所在地を管轄する公安委員会に届出書を提出すれば、探偵業者は全国的に探偵業務を行うことが出来ます。
「この法律の施行に必要な限度において」とは、営業所の所在地を管轄する公安委員会以外の公安委員会であっても、報告又は資料の提出を求めることができるとし、また、立入検査についても営業所を管轄する都道府県警察以外の都道府県警察の職員であっても行うことが出来ると規定されています。
(8)指示
第14条 公安委員会は、探偵業者等がこの法律又は探偵業務に関し他の法令の規定に違反した場合において、探偵業の業務の適正な運営が害されるおそれがあると認められるときは、当該探偵業者に対し、必要な措置をとるべきことを指示することができる。
指示は、探偵業者等が法令違反をした場合において、探偵業の業務の適正な運営が害されるおそれがあると認められる時に行うことが出来るもので、行政処分になります。この指示は、違反行為を行った探偵業者等に係る営業所の所在地を管轄する公安委員会が行います。
(9)営業の停止等
第15条 公安委員会は、探偵業者等がこの法律若しくは探偵業務に関し他の法令の規定に違反した場合において探偵業の業務の適正な運営が著しく害されるおそれがあると認められるとき、又は前条の規定に違反したときは、当該探偵業者に対し、当該営業所における探偵業について、6月以内の期間を定めて、その全部又は一部の停止を命ずることができる。
営業停止命令は、探偵業者等が法令違反をした場合において、探偵業の業務の適正な運営が著しく害されるおそれがあると認められるとき、又は第14条(指示)の規定による指示に違反したときに行うことが出来るものです。
違反行為を行った探偵業者等に係る営業所の所在地を管轄する公安委員会が行います。
(10)罰則
第17~19条は罰則規定です。
第17条 第15条の規定による処分に違反した者は、1年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第18条 次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
一 第4条第1項の規定による届出をしないで探偵業を営んだ者
二 第5条の規定に違反して他人に探偵業を営ませた者
三 第14条の規定による指示に違反した者
第19条 次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
一 第4条第1項の届出書又は添付書類に虚偽の記述をして提出した者
二 第4条第2項の規定に違反して届出書若しくは添付書類を提出せず、又は同項の届出書若しくは添付書類に虚偽の記載をして提出した者
三 第8条第1項若しくは第2項の規定に違反して書面を交付せず、又はこれらの規定に規定する事項を記載しない書面若しくは虚偽の記載のある書面を交付した者
四 第12条第1項に規定する名簿を備え付けず、又はこれに必要な事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をした者
五 第13条第1項の規定に違反して報告をせず、若しくは資料の提出をせず、若しくは同項の報告若しくは資料の提出について虚偽の報告をし、若しくは虚偽の資料を提出した者又は同項の規定による立ち入り検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者これらの罰則規定を要約すると
○ 1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
営業停止命令、営業廃止命令の違反者
○ 6月以下の懲役又は30万円以下の罰金
届出義務違反、名義貸し、指示命令違反
○ 30万円以下の罰金
届出書などの虚偽記載、変更の届出義務違反、書面交付義務違反、
名簿備え付け義務違反、立入検査受忍義務違反
と言うことになりますが、これらはあくまでも探偵業法に違反した場合の罰則であります。
探偵業者等が他の法令に違反した場合その違反行為が当該法令の違反者として処罰の対象者として問擬されることは当然ですが、また同時にその違反行為が「探偵業の業務の適正な運営が(著しく)害されるおそれがあると認められるとき」は探偵業法の違反者としても問われることになります。
執筆者:(株)児玉総合情報事務所 金沢 秀昇
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