東京都調査業協会

探偵コラム

第29回:身近に感じた巧妙な詐欺

ある時期のことですが、2、3日に渡って何十件と立て続けに電話が鳴り止まない日がありました。すべてが依頼や相談の電話であれば申し分ないのですが、残念ながらそうではありませんでした。
電話に出てみますとその多くが不安そうな声で「どうしたらいいですか?」と何か助けを請うかのように訴えるのです。

原因は弊社の社名を悪用した架空請求メールでした。

その内容は大まかに言いますと、
-----調査会社がメールの差出人という設定で、メールの受取人が過去に有料サイトの閲覧をしたが料金が未納のままであり、滞納金含めその金銭が支払われていないので、そのサイトの運営会社に依頼されて、料金を支払う旨の返事が無い場合は身辺調査を行う---というものでした。

半信半疑でメールを読んだ人もその社名を調べてみるとホームページが存在し、その会社が実在することを知ってさぞ驚いたことでしょう。
このように嘘の中に少し真実を混ぜると、その嘘全体を信じてしまいやすくなります。その他にもこのメールには、人々の無知につけこんだ巧妙な手口がふんだんに盛り込まれていました。

公安委員会届出番号、発信者端末電子名義認証、電子消費者契約法、和解手続、強制執行……云々、日常生活ではほとんど使うことのないであろうワードをいかにもな用法で文に組み込んで騙そうとします。

料金の請求理由も、「もしかしたらあったかもしれない」と思ってしまう人が多いような内容です。

実際にしばらく前に別のワンクリック詐欺のサイトの仕掛けで、これは詐欺だからとわかっていて無視した人にこういったメールが届いたらヒヤッとする人は少なくないかもしれません。こうした世の中の実情をよくわかった上で作成されているなと思える内容のメールでした。実に巧妙です。このようなメールが詐欺であると知っていた人はすぐに迷惑メールとして無視したことでしょう。

しかし、このような手口をまったく知らなかった人はどうでしょうか。

このメールには当然、弊社の電話番号ではなく偽の詐欺師に繋がる電話番号が記載されています。すぐに弊社の本当の電話番号を調べて問い合わせてきた人は賢明であったのかもしれません。なかには、詐欺師の電話番号にかけてしまい料金を振り込む寸前で弊社に問い合わせをしてきたという人もいました。

ちなみに、弊社に問い合わせをしてきた人の男女比は等しく、年齢は20代から40代くらいの方であったと思われます。
昼時には電話が集中し、昼休み中のビジネスマンと思われる方からの問い合わせも多くありました。振り込め詐欺はご老人が被害に遭うものというイメージがありますが、このように他の世代を狙ったものもあるのです。 こうした詐欺の手口はどのような方法でいつ私たちを狙ってくるかはわかりません。普段なら騙されなくても、忙しいとき、疲れているとき、気が滅入っているときにやられたら結果は変わってくるかもしれません。

日頃から「自分は騙されない」と思うのではなく、「自分も騙されるかもしれない」と意識しておくほうが、新しい詐欺の手口に出くわしたときも早くに気づき対処しやすくなるでしょう。

執筆者:オハラ調査事務所 小舩井 芳夫

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