第16回:探偵調査業に関する法的規制の歴史的展開
今回は探偵調査業に関する法的規制の歴史的展開について紹介します。
Ⅰ『信用告知取締規則』が明治43年(1910年)に大阪府令第26号として発令されました。以後他府県でも類似の規制が敷かれることになりました。『信用告知取締規則』は旧憲法下の法令であり、新憲法の実施により失効しました。
Ⅱ『大阪府部落差別事象に係る調査等の規制等に関する条例』による規制
『大阪府部落差別事象に係る調査等の規制等に関する条例』昭和60年(1985年)成立。俗に「興信所条例」と称されています。
この条例の主目的は興信所・探偵社の部落差別に関する調査を禁止したものであり、さらに大阪府知事への届出を規定しています。
この条例の制定を契機に探偵調査業の大同団結が叫ばれて昭和63年(1988年)に公益社団法人としての日本調査業協会が成立したことは銘記しておくべきだと思います。
Ⅲ個人情報保護法による規制
「興信所条例」の施行以来、探偵・調査業側からは、一定の権限付与を求める「調査業法」の必要性が叫ばれ、業法制定に向けて、業界団体の活動が活発となりました。その反面、一部の探偵・調査業者による違法、不当調査が頻発し社会的問題化したことも事実です。このような状況が20年近く継続してきた中で、『個人情報保護法』が平成15年(2003年)5月30日に制定されました。
更に、『個人情報保護法』を施行するためも指針が各省庁から告示され、探偵・調査業者に関連するものとして、国家公安委員会から『国家公安委員会が所管する事業を行う業者が講ずべき個人情報の保護のための措置に関する指針』が出され、それを受けて、警察庁生活安全局から、『興信所業者が講ずべき個人情報保護のための措置の特例に関する指針』が出されました。これら両指針により、探偵・調査業に対する監督、規制が一段と強化されました。
Ⅳ 探偵業の業務の適正化に関する法律による規制
探偵・調査業に対する最終的な規制として、平成18年(2006年)6月8日に探偵・調査業を直接名宛人とした法律である『探偵業の業務の適正化に関する法律』が成立し、平成19年(2007年)6月1日より施行されました。
執筆者:榎本事務所 榎本 了仁
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