2006-04-26
苦情の現状と新法『探偵業法』での対応について
苦情の現状と新法『探偵業法』での対応について
社団法人日本調査業協会主催第二回教育研修担当者集合教育研修会が平成18年3月24日(金)愛知県名古屋市東区上竪杉町「ウィルあいち」にて開催されました。
午前11時より開始され第1時限は「調査業の苦情実態」と題して社団法人日本調査業協会理事鳥居喜美子氏 ・・・前埼玉県消費者センター担当官より次のデーターを基に講義された。
今回の探偵ニュースは、この講義が大変に有意義な講義でしたのでその一部をご報告致します。 (1)探偵業の苦情と分析(国民生活センターの調査))
年 度 | 2000 | 2001 | 2002 | 2003 | 2004 | 2005 |
相談件数 | 844 | 974 | 1301 | 1357 | 1624 | 1215 |
(2)(社)日本調査業協会の苦情・相談集計
年 度 | 2004 | 2005 |
加盟員 | 81 | 67 |
非加盟員 | 51 | 74 |
不 詳 | 8 | 12 |
計 | 140 | 153 |
※ 2005年度は2006年2月末現在 |
※上記データーから読取れるのは、 ①相談件数の増加傾向 ②日本調査業協会の数字は『苦情』と『相談』を併せ『問合せ』は除外。数字は少ないが「加盟
員」の相談が少ないとは言えない。 ③業法制定が必要となる。 ※新法『探偵業法』の検証 1.法律名が『探偵業』となっているが、苦情に出てくる名称は興信所・探偵社・探偵事務所・
調査会社・私立探偵・身辺調査・調査機関の調査員 ①名称が違うが『探偵業』については無いと言っても、その業務が第2条の定義に合致すれば
名称が何であれ『探偵業』となる。
第2条(定義) この法律において『探偵業務』とは、他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞き込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務をいう。 |
2.届出制について第4条 ①『届出』、『登録』、『許可』の違い ②『届出』をしなければ『探偵業務』を営めない ③公安委員会から『届出があったことを称する書面』の交付を受ける ④アウトサイダーがいなくなる
第4条(探偵業の届出) 探偵業を営もうとする者は、内閣府令で定めるところにより、営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会に次に掲げる事項を記載した届出書を提出しなければならない。 この場合において、当該届出書には、内閣府令で定める書類を添付しなければならない。 3号 公安委員会は第1項又は前項の規定による届出があったときは内閣府令で定めるところにより当該届出をした者に対し、届出があったことを証する書面を交付しなければならない。 |
※苦情が一番多い契約トラブルと新法『探偵業法』との検証 1.契約の成立売り手と買い手の意思の合致書面の必要性 2.支払い拒否の妥当性 ※主なる料金トラブル例 「一部支払い残金を支払いたくない」、「契約を交わして2日後にキャンセルしたところ違約金
を請求された」、「調査実施の前日までに中止を連絡すれば全額返金すると言ったにもかか
わらず返金に応じない」、「気が変わって解約を申し出たところ、その後の料金請求がしつこ
い」、「結果報告が不満なので支払いたくない」、「不当に高い料金を取られた。取り戻すこと
は出来ないか」 、「料金を前払いしたが、2ケ月経っても報告がない」、「申し込んでいないの
に追加調査料金を請求された」、「追加実費の請求が多額に来た」 3.契約内容不備によるトラブル ※主なる相談事例 「業者の話に一貫性が無く信用できない」、「離婚調停で証拠として確実に通用する・・・結果
報告が不備だらけで実際には通用しなかった」、「調査を依頼したが、不当に高い料金」、「調
査に失敗したにもかかわらず通常の請求をして来た」、「調査中で報告が無いにもかかわらず
追加調査を勧められた」、「契約した内容が実行されず別の報告内容で来た、納得が出来な
い」 「調査内容がいい加減で連絡もとれない」 ※新法『探偵業法』での契約事項
【書面の交付義務】 (1) 依頼者から書面の交付を受ける義務 第8条1項 ⑤提供する事ができる探偵業務の内容 ⑦探偵業務の対価その他の当該探偵業務の依頼者が支払わなければならない金銭の概 算額及び支払時期 ⑧契約の解除に関する事項 【契約を締結したとき】 (3)契約書面の交付 第8条2項 ③探偵業務に係わる調査の内容、期間及び方法 ④探偵業務に係わる調査の結果の報告の方法及び期限 ⑥探偵業務の対価その他の当該探偵業務の依頼者が支払わなければならない金銭の概 算額及び支払時期及び方法 ⑦契約の解除に関する定めがあるときは、その内容 |
※消費者契約法から契約をみる 「契約時に強引だった上、調査に失敗したと連絡を受けた」・・・(不実告知、故意の不告知) 「業者の話が信用できないので一部しか支払いをしなかった」・・・(不実告知、故意の不告知) 「離婚調停で証拠として確実に通用すると説明されて夫の調査を依頼」・・・(断定的な判断) 「契約書に調査日数・契約金額の記入がないまま説明もなく署名を強要された」・・・(不実告
知・故意の不告知)
消費者契約法 第4条(消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取り消し) 1.消費者は事業者が消費者契約の締結について勧誘するに際し、次の様な行為をしたことで 誤認して消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときはこれを取り消すことが できる。 ①不実告知(うそを言って契約させる) ②故意の不告知(不利になる事が明らかなのに その事を事前に伝えない)③断定的な判断(リスクの部分の説明をしない。) 2.・・・困惑して ①不退去(自宅に来て頂き相談したが帰らず) ②退去妨害(調査事務所に相談に行ったが中々帰してもらえず) 第7条(取り消し権の行使期間等) 消費者が誤認、困惑して契約したと気がついたときから6ケ月以内、又は契約を締結したとき から5年以内 |
4.広告表示トラブルの事例(東京都消費者総合センター事例から) 投げ込みチラシをみて夫の浮気調査を依頼した。具体的な調査内容の書いていない契約書が
交付された。キャンセル料については、調査開始前日まで10%、開始後は返金不可となって
いる。結局何も調査してくれなかったので代金21万円を支払いたくないが、嫌がらせが心配。 ①「広告表示」は契約のきっかけになり、重要な判断材料となる。広告表示に関するトラブルを
なくすためには、事業者の適正な表示による営業活動が望まれる。
不当景品類及び不当表示防止法 表示とは、顧客を誘引するための手段として事業者が自己の供給する商品又は役務の 内容又は取引条件その他これらの取引に関する事項について行う広告そのほかの表示であって公正取引委員会が指定するもの・・・(公正取引委員会に伝えると事実関係の調査、聴聞、排除命令が出せる。) 不当表示とは (1)商品の内容についての不当表示・・・(チラシ・ポスター・パンフレット・ホームページ・ インターネット広告、口頭による説明・・・内容を克明に記録しておけば対応可能。) |