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    2018-12-26

    「本物の探偵って日本にいるの?」

    「えー? いないんじゃない?」

    「だよねー」

     

    なんて会話を、街を歩いている時に聞きました。

     

    世間一般でいうところの「探偵」とは、どういうものを示しているのでしょうか?

    やはり、名探偵金田一耕助など「名探偵○○」と呼ばれるテレビや映画で出てくる探偵なのでしょうか。

     

    物語の中に出てくる探偵は、みな殺人事件に関わり、警察と協力したり、警察を出し抜いたりしながら、最後の推理を容疑者全員に披露します。

     

    もし本当に、一般のイメージがそういう探偵であれば、日本にはいないのかもしれません。ただ、探偵の中には警察とかかわりのある人たちもいるので、一概には言えない部分もあるのですが、職業としての探偵をしている人が全員そうだとは言えないのは事実です。

     

    だからと言って、そこで「探偵にもランクがあるんだね」なんて思うのは、ちょっと違います。

    探偵の本分は、依頼人の利益となる真実を探り、報告書としてまとめてお渡しすることです。警察と関わり協力し合うのが本分ではありません。

     

    依頼人が「誰」なのかによって、探偵は関わる人を変えていきますし、その中で人間関係を築き上げ、自分の得意分野を構築していきます。そのため、浮気調査専門の探偵が現れたり、信用調査専門の探偵が現れたり、裁判資料専門の探偵が現れたりするわけです。

     

    人の性格と同じで、一つのことに集中したい人もいれば、多くのことを同時に手広くしたい人もいるので、専門を作るのか、調査全般を受けるのかは探偵によって違いますが。

     

    ここまで読むと、一番初めに書いていた「本物の探偵は日本にいるの?」という質問の答えは、「イエス」です。

     

    ですがどうして、探偵という職業がちゃんと認知されないのだと思いますか?

    探偵という職業は昭和初期からあり、その間途絶えることなくずっと誰かが探偵業を営んでいます。

     

    中には探偵業をしているのに、看板から「探偵」という言葉を外して大会社として成功しているところもあります。ですが、やっていることは探偵業と同じ。

     

    また昭和のテレビドラマでヒットした松田優作の探偵物語で、日本の探偵が一般の人に受け入れられると知り、メディアで取り上げられるようになりました。さらに、探偵にあこがれる若者も増え、新規参入をする人も多くいました。ただ、探偵はそんなに簡単な業務内容ではないので、一気に増えたものの、残った人は一部にすぎませんでしたが、それでも相対的には増えたと言ってもいいでしょう。

     

    探偵物語以前の探偵のイメージは、もっと泥臭く世間のはぐれ者たちが集まっている集団とさえ言われている時代もありました。

     

    例えば、履歴書に前職○○探偵社と書いていると、それだけで落とされるということも。そのため、一度探偵社に身を置いたら、転職先は探偵社しかないという時代だったんです。

     

    でも今は、「探偵」のイメージの地位が上がってきているため、そんな扱いを受けることはありません。どちらかというと、「へー、探偵だったの!? 面白い経歴を持ってるねー」と面接の場で盛り上がるネタになるぐらいです。

     

    探偵物語を含め、テレビで放送される「探偵」は嘘が多いのが事実ですが、それでも明るく取り上げられるようになって「探偵業」をしている人たちへの目も変わってきました。

     

    実際、職業に関することでいえば、テレビドラマや映画の中に出てくる「警察」も、本当の世界とは違いますし、「美容師」や「花屋」「八百屋」などの身近な職業でさえ、辛いところはあまり見せないので、現実とは大きくかけ離れていたりします。

     

    今はリアルな世界を追いかけるようになってきたので、多少は現実に近づいてきているかもしれませんが。

     

    昔に比べて、探偵社に訪れる人のタイプが変わってきました。

    「こういう人は、きっと困っても探偵社には相談には来ないだろうなー」という人も、

    気軽に訪れるようになっているからです。

     

    それは、今までさんざん良いようには言っていないメディアの力でもあります。メディアは探偵が刑事事件を解決する人として登場させるだけではなく、「探偵も普通の人だよー」という風に伝えるため、「もしかしたら、私の相談にも乗ってもらえるのかも」と一般の人が思うようになったという効果もありました。

     

    また、昔では考えられなかった現役の探偵がテレビに出たりすることもあり、「探偵」が特別なものという風に思われにくくなってきたというのもあります。

     

    それでも、一度も依頼人として訪れたことのない人が探偵のリアルな世界を理解していることはありません。なぜだと思いますか?

     

    答えは簡単です。

    探偵社に訪れた人が、「昨日、探偵に依頼に行ってきたんだー」と周りに伝えないからです。

     

    だから本当は、あなたの友人がすでに探偵社に依頼に行っていたとしても、知らないので探偵という存在が、何となくふわっとしているのでしょう。

     

    探偵に依頼する人の立場を考えてみてください。

    例えば浮気調査。

     

    夫の浮気を疑っている妻が探偵に依頼したということを、周りの人に言うでしょうか? 世間体を気にしている人であればあるほど、そんな不名誉なこと言いませんよね?

     

    信用調査の場合、面接に来た人たちの調査を探偵に依頼した会社が、従業員に「お前の信用調査をしたが、問題なかったからうちに入れたんだよ」なんて言うでしょうか?

    そんなことを言うと「おい、なに勝手に人のことを調べてんだよ! プライバシーの侵害だ!」なんて言われてしまうかもしれません。

     

    つまり、依頼人側は自らが探偵に行って依頼をしたということを周りに言わないので、世間は「探偵業をしている人がいる」ということは知っていても、実際にはどういうことをしていて、どういう結果を自分にくれるのかということを知らないというわけです。

     

    探偵社に訪れてくれた人には、先にどういう調査報告書を渡すかの説明はしますが、訪れていなければ説明することもできません。

     

    なので、一般の人は、探偵社がどういうところで、どんな探偵がいて、どんな調査をして、どんな結果を出してくれるのかを知らない人が多いというわけです。そう思うと、世間の人が「本当の探偵」を理解していないという今の方が、正しい在り方なのかもしれませんね。

     

    ただ、困りごとがあった時には、気軽に相談をしてほしいというのは本音ですが…。

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