2024-03-05
第251回:《探偵》同じ探偵事務所に依頼しても料金が違うのはなぜ?
探偵事務所に持ち込まれる相談で一番多いのは、やはり浮気調査です。一般の人が想像しやすく、浮気調査を依頼できるところが探偵事務所しかないからかもしれません。
ですが探偵事務所のHPを見ても、浮気調査1件○○円とはっきり書いているところはないと思いませんか?中には数字を書いているところもありますが、○○パックで○○円から~と書いていたり、○○円から~と書いていたりするところもあります。それでもあいまいです。実際に依頼したら、いくらかかるんだろう?と想像しかできません。
どうしてはっきり数字を書いていないのでしょうか。はっきり数字を書いている方が、依頼をする側も探偵事務所を比較するときにどこにするのかを考えやすくなることは明白なのに。
もちろん、見積りをすれば探偵事務所から、浮気調査にかかる相談料がいくらなのかは教えてもらえます。ですがそこでも、その数字が最終の数字ではないと言われるのが通常です。最終の数字がわからないまま、探偵のことを信用して、人に話したくないことを話し、調査をしてもらい、全てが終わってから金額がわかる……これは結構リスクがあります。
誰にも相談できず不安がピークになった状態で、勢いで探偵事務所に相談をする人も多いので、そういう心境になっていれば、探偵事務所があいまいな数字を出してきてもそれほど気にならないかもしれません。ですが冷静になれば、やっぱり不親切な気がしてしまうのは当然です。
探偵業界での調査料金というのは、それほど不明確です。ただ探偵事務所が悪いというわけではなく、調査という仕事の特性のせいだと言った方がいいでしょう。調査は実際に行ってみないと、どれぐらい時間がかかるものなのかがわかりません。依頼人の話を聞きながら、おそらくこれぐらいの時間拘束で、調査範囲はこれぐらいだろうというのはベテランの探偵であれば見当をつけることはできますが、それでも対象者が「人」なので、イレギュラーな行動をとる可能性は十分にあるからです。
想定外の行動をとる人もいれば、想定内の行動しかとらない人もいますが、それは事前にわかるものではありません。調査を依頼してくる家族であっても、24時間365日ずっと一緒にいるわけではないので、見えていない顔が存在しているからです。
夫婦の場合は元々が他人ですので、知らない部分があっても当然です。ですから妻や夫の浮気調査を依頼したとしても、どこまで把握しているのかはわかりません。さらに夫婦仲がもともと悪く冷え切っていた場合で、離婚をするのにちょうどいいからと浮気調査を依頼してきた場合は、より相手のことを知らないので、探偵に相談をするときも曖昧な情報しかない場合があります。そうなると、探偵側も見積金額自体を出すのが難しくはなるのですが、最近は拘束時間を提示して見積もりを出しているので、依頼人側もわかりやすいかもしれません。
ただ浮気の証拠というのは、いつ取れるのかはわからないものです。夫婦だからと言って、今日夫もしくは妻が浮気するという確証を持っている人はどれだけいるでしょうか。もちろん、浮気相手と約束をしている日程が書かれたLINEや電話の声を聞いたのであれば間違いはありませんが、そうではない場合はわかりません。疑わしい日に調査をするだけです。
そして調査の日に夫もしくは妻が浮気をしなかった場合は、探偵がどんなに優れた調査能力を持っていたとしても浮気の証拠は押さえられません。また勘違いをされている人もいるのですが、夫もしくは妻が浮気をしていない日に尾行をしていた場合でも、調査料金はかかります。配偶者が浮気をしている日に尾行をしていた場合だけ、調査料金が発生するわけではないからです。
この仕組みを聞くと、探偵が「浮気調査は○○円ですよ」ということをHPにかけないこともわかるのではないでしょうか。調査日が増えるたびに、調査料金は増えていくからです。さらに尾行対象者の後をついていくわけですから、移動費もかさみます。移動費も、尾行対象者がどこに行くのかが事前にわかっているわけではないので、事前に把握できる金額ではありません。
このように、調査料金は不確定な要素が多いため、どうしても金額は全ての調査が終わってからではないと、正式な金額を言う事ができません。ただもちろん、悪徳業者ではない限り、調査をする日程が増えれば、それだけ調査料金が上がることは事前にお伝えしますし、調査日を増やす際には、依頼人に増やすか、ここで調査をやめるかは聞いています。勝手に調査日を増やして、最後に高額請求をするということはしません。しませんが、証拠が出るまで調査を続けるとなると、かなりの金額になってしまう場合もあります。もちろん、調査1日目で浮気の証拠を得られる場合もあります。
ですが、調査料金に差が出るのは、これだけではありません。実は探偵事務所に依頼の相談をするときに、依頼人側でどこまでの情報を持っているかでも、調査料金に変動が出ます。
例えば、配偶者の浮気相手が誰なのかを知っている場合。名前は知らなくても、配偶者とどういう繋がりがあって不倫をしているのかを知っている場合と知らない場合では、調査料金が変わります。浮気相手がどこの誰なのかわからない場合と、例えば浮気相手が同じ職場の人だとすれば、職場付近で張り込んでいれば浮気の証拠が取れるとすぐにわかりますが、相手が誰なのかわからないと、どこを重点的に張り込んだらいいのかがわからないため時間も人も必要になるという事です。
また先ほども書きましたが、配偶者がいつ浮気をするのかがわかっている場合は、わからない場合よりも調査日の日数が少なくなるので調査料金は安くなります。
浮気に関する情報を依頼人がどれぐらい知っているのかによって、調査料金は同じ浮気調査でも調査料金に変動が出るというわけです。ただ、配偶者の浮気の証拠を事前につかもうとしすぎて、配偶者に証拠集めをされている事がばれてしまうと、浮気の証拠自体が出づらくなる危険性もあるので、やりすぎは注意です。
ほどほどなところで証拠集めはやめて、探偵に調査を依頼した方が無難ですよ。