2023-03-14

    昭和、平成という時代、探偵に相談をされる方の中に「私の家、盗聴されているようなんです」というような電話をかけてくる方が一定数いました。もちろん、令和になった今でもたまにありますが。

     

    おそらくこれは、テレビドラマや事件小説などで、一般家庭に盗聴器が仕掛けられているというような場面を何度も見かけたせいだと思います。

     

    もしかしたら、うちにも盗聴器があるのかもしれない…。

     

    そんな猜疑心から、家の中を調べてみるものの特にそういったものは見つかりません。素人目ではわからないのかもしれない。そうだ、探偵に相談をしよう!

     

    という思考になるのだと思います。

     

    配偶者の浮気を心配して探偵に相談をする人よりも、盗聴器が仕掛けられているかもしれないと心配して探偵に相談をする人の方が、探偵に相談することの抵抗は少ないように感じます。おそらく、盗聴器は専門的なものであり、探偵もそういったことへの専門団体という意識があるからかもしれません。

     

    「私の家、盗聴されているようなんです」という相談が増えた時代には、世の中にも盗聴器発見を専門的に行う団体が増えたこともあります。探偵も盗聴器があるかないかを調べることができますが、一般の方からすれば「盗聴器発見専門店」と書かれている方が安心するからでしょう。

     

    ただ、そういった事務所の一部は、詐欺グループだったことが後から分かっています。どういう詐欺を働いていたかと言うと、実際に伺った家で調査員の1人が依頼人の目を盗んで盗聴器を設置し、もう1人の調査員が「ここに盗聴器が仕掛けられていましたよ!」と依頼人に伝えるというものです。

     

    つまり、盗聴器が実際にあるかどうかは調べず、自分たちで設置したものを自分たちで回収して、お金だけを得ていたということです。

     

    さらにこういう事務所もありました。家に伺った調査員の1人が、その家に盗聴器を2つ取り付け、1つだけ回収して引き上げるというものです。つまり、家の中に入った調査員が、結果的にその家に盗聴器を仕掛けて立ち去るというもの。

     

    これはお金を取られただけではなく、家の中で話していることを他人に聞かれてしまうので、気持ち悪いものですね。それに、相談者が有名人だった場合は、その情報を他の人に売られている可能性もあります。

     

    そういった時代も、昭和、平成の初め頃まではありましたが、今はほぼ詐欺グループは捕まっているか、自主的にやめているかのどちらかのパターンが多いので安心して下さい。

     

    ただ、「私の家、盗聴されているようなんです」という相談については、考えなければいけないことがあります。

     

    テレビドラマや小説などの物語の世界では、一般家庭に盗聴器がつけられていることがありますが、現実世界ではどうでしょうか。

     

    盗聴器を取り付けるということは、盗聴器というリスク(犯罪)を負ってでも、その家の情報を知りたいということです。盗聴器を仕掛ける相手が、政治家や芸能人というのであれば、まだわかります。そこに知りたい情報があるということは理解できるからです。ですが、一般家庭の場合はどうでしょうか。

     

    特に重要な情報を持っているわけでもなく、有名人でもない家。もちろん、ストーカー被害に遭っていて、その延長で盗聴器を仕掛けられるという可能性はありますが、特に何もない場合は、盗聴をされるでしょうか。

     

    盗聴器を仕掛ける人物が愉快犯的な人で、色んな家庭の雑多な会話を知りたいのであれば話は別ですが、そういったこともめったにありません。

     

    つまり、「私の家、盗聴されているようなんです」というのであれば、相談者本人に何かしらの事情がある場合でないと、ほとんどの場合、盗聴器は仕掛けられていないということです。

     

    ただし、賃貸などで引っ越しをしたばかりの家という場合は、また話が変わってきます。なぜなら、以前住んでいた人のことを知るために盗聴器が仕掛けられたままになっているということもあるからです。その場合は、本人に盗聴される要素がなかったとしても、盗聴されている可能性はあります。ただ、盗聴をしている人は、住んでいる人が変われば、その部屋の盗聴を引き続き行う、ということはしないとは思いますが。

     

    では盗聴器というのは、実際に手に入れられるものなのかという点で見ていくと、昭和平成の頃に比べると、現在の方が手に入れやすくなっています。精密なものから簡易的なものまで、電気屋さんに普通に売っていることも。売られているということは、買う人が多いということです。

     

    盗聴器を買った人すべてが盗聴器を個人宅に付けるというわけではないと思いますが、盗聴器を買うことで何かしらの欲求が満たされるのかもしれません。

     

    また盗聴器は、自分で買って、自分の家に設置するというケースもあります。自宅に設置する場合は、特に犯罪にはなりません。ではなぜ、自宅に設置するのかと言うと、例えば夫の不貞、妻の不貞を探るためだったり、子どもの素行を探るためだったりです。

     

    そういう理由で家の中に盗聴器があるというのであれば、それは往々にして考えられることです。考えられることではありますが、それでどうして盗聴されていると感じるのか、ということも問題にはなります。本人に話していないことを、先に言われてしまったというのであれば、確かに盗聴の可能性はありますが、盗聴を仕掛けた人が家の人であれば、必要な情報を得た後もそのまま盗聴器をつけ続けていない可能性もあるので、探偵に依頼をしたあとでは盗聴器を見つけることができないかもしれません。

     

    「私の家、盗聴されているようなんです」と相談をする場合は、相談者ご自身がどんな立場で、どんなことを人に黙っているのかということを振り返ってみてください。もし何も心当たりがない場合は、気のせいという可能性が高いと言えるでしょう。

     

    ただそれでも、自分で盗聴器発見器のような怪しいものを購入する前に、探偵に相談をして下さい。依頼を引き受けるか受けないかは、その探偵によって違いはあると思いますが、相談だけはどの探偵でも乗ってくれます。誰かに話すことで、気持ちが落ち着くはずですよ。

     

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