依頼人の中には、たまに探偵に相談をすることが悪いことだと思っている人がいます。

　

探偵は人が隠していることなど秘密を暴くのが仕事です。どんなに近しい間柄であっても、相手にもプライベートがあり、それを犯すことはいけないことだと思っているからかもしれません。

　

そういった感情が、探偵とのコンタクトを遠ざける要因の一つになっています。

　

確かに、探偵に依頼をしてはいけないことも中にはあります。例えば、同じ会社にライバルやいけ好かない奴がいて、その人を蹴落としたいから探偵にプライベートを調べてもらって、脅しのネタを探るとか、名前も知らない女性のことを好きになって、自分で家や名字までは調べたけれど、過去のことやプライベートな情報が知りたくて調べてもらうなど。

　

たまにこういったことを探偵に調べてもらおうと連絡をしてくる人がいます。でも、どんなにお金を積まれても、探偵はそういったことには手を貸しません。

　

脅しのネタを調べたり、ストーカーの味方をしたりという犯罪に関係のありそうだと判断すれば、きっぱりとお断りをしています。それらの調査ができないというわけではなく、犯罪にはかかわらないというのが探偵のモットーだからです。

　

例えば浮気調査。

依頼人の夫や妻が浮気をしているかもしれないから調べてほしいと言われれば、もちろん調べます。ですが、「ご近所の〇〇さんのところの旦那さんが浮気しているみたいだから調べてほしい」と言われれば、お断りしています。たとえこの方が、「ご近所の〇〇さんのことがかわいそうで、放っておけないから」と言われてもです。

　

浮気調査は、ご自身の配偶者もしくはご家族からの依頼しか受けていません。探偵の前では「ご近所さんが心配で」と言っていても、本当のところは、そのご近所さんのスキャンダルを手に入れて、それをもとに強請をかけたり、いびったりする可能性があるためです。

　

こういった事情を知っている人であれば、自分の夫や妻が浮気をしているから調べてほしいと言ってくる人もいます。本当はただの他人なのに。ですが、夫や妻の浮気調査を行う上で、事前調査を行うため、そういった嘘はすぐにバレます。

　

探偵に依頼をする際には必ず契約書に判を押してもらっているのですが、その契約書には犯罪に関わるような調査は行わないと書いてあります。これが犯罪に関わるものだと気づけば、すぐに調査は終了。依頼人の嘘は十中八九暴かれるので、嘘はつかない方がいいでしょう。

　

こういったことは浮気調査だけではありません。人探しの調査も同じです。

　

たとえば、家族が行方不明になったので探してほしいという依頼。行方不明になれば、警察に届出を出すものですが、届出を出したところで警察が人探しをしたりはしません。行方不明者の顔を覚えている警察もいて、たまたまその人物と同じ人を見つけたという場合だけ、連絡をしてくるというのもの。

　

ですが探偵に依頼をすれば、積極的に行方不明者の足取りをたどって探しに行きます。そうして発見された人も実際に何人もいます。

　

ただ人探しの依頼を受けるときには、探偵側は細心の注意を払っています。「結婚を約束している彼女が行方不明になった」というような依頼は基本的に受けません。本当に結婚を約束した彼女なのかがわからないからです。もしかすると、ストーカーが逃げた女性の居所を探している可能性だってあります。

　

また家族だと言っている人からの依頼にも細心の注意を払っています。娘を探している、妻を探しているというようなものであっても、本当に家族だったとしても、姿をくらました側に何かしらの意志があった可能性があるからです。

　

探偵は依頼を受けて実際に行方不明者を探しだした後、依頼人にすぐに居場所を伝えるようなことはしません。行方不明者に実際に声をかけて、依頼人が本当に家族かどうかを確認し、会う意思があるかどうかも確認しています。

　

本当の家族であっても、中にはDV被害を受けていて耐えられないから逃げたという可能性だってあるからです。それを確認せずに、依頼人の言葉だけを信じて報告書を作るというようなことは、知らない間に犯罪に加担をしている可能性もあるため、探偵も慎重になっているというわけです。

　

他にも信用調査にも注意を払っています。信用調査は、自分の子ども相手の結婚相手を調査してほしいという依頼人や機密情報を取り扱っている会社に入社してくる人に対して企業が依頼をしてくることがあります。

　

一見何の問題もないような気もするかもしれませんが、ここには差別問題が含まれている可能性があります。対象者が浮気をしていたり、陰湿ないじめを行っていたり、不正なことをしていたり、裏社会との太いパイプがあったり、そういったことはしっかりと報告させていただきますが、差別につながるような事柄については調査をしていくうちに見えてきたとしても報告はしません。依頼人がどんなに強く、その部分を求めてきたとしてもです。

　

こういったことがあるので、本当に困っているから探偵に相談をしたいと思っている人も、探偵に依頼をすることは悪い事をしているのではないかと思ってしまうのでしょう。

　

ですが探偵は、あくまで困っている人の味方です。悪だくみをしようとしている人をサポートする業界ではないということを知ってほしいと思います。

　

話を戻しますが、探偵に依頼をすることはいい事か悪い事かというと、いいも悪いもないというのが本当のところです。

　

たとえば、パソコンのスキルが足りないなと思って、パソコン教室に通うことはいい事でしょうか？悪い事でしょうか？

　

いいも悪いもないですよね。そもそもそんなことを考えたりもしないと思います。必要だと思ったから、通うことを決めたというだけのはずなので。

　

探偵も同じです。自分だけではどうしようもできなくなったから、調査のプロである探偵に相談をしに行く。それだけのことです。恥ずかしい事でもないですし、後ろめたい事でもありません。

　

相談する内容が、ごくプライベートな事なので、それを相談することに対して勇気がいるのはわかります。でも勇気を持って相談をしてみると、新しい選択肢が増えているかもしれません。

　

一人で悩まずに、探偵に頼ってきてくださいね。

　

東京都調査業協会へ