2019-07-04
第68回:《探偵》どこまで調べられる?信用調査と身元調査
一般的な依頼人をお客さんとしている探偵社で浮気調査の次に依頼が多いのは、信用調査・身元調査です。
信用調査と身元調査、あと少し似ているのが素行調査ですが、この3つの調査の違いは分かりますか?
信用調査は、その人物が信用できる人かということを調べるためのものなので、主にその人物の周辺について調査をします。
身元調査は、その人物がどんな人なのかを調べるため、主にその人物本人を調査します。
素行調査は、その人物の普段の行動がどういったものなのかを調べるため、主にその人物本人を調査します。
初めて探偵社を使う人が、この違いを理解することは難しいですし、知りたいことによってはこの3つがかぶっている場合もあります。
探偵に依頼するときに「信用調査をお願いします」というのではなく、誰のどんなことを知りたいのかを伝えたほうが、探偵側が「この人は身元調査をいらいしたいんだな」と判断しますので、あえて自分からは「●●調査」と言わない方がいいかもしれません。
ただ基本的に、企業が自社に入社する人のことを調べる時は「信用調査」をおこなっています。
どんな企業でも、自社に入社する人のことを調べるのかというと違います。例えば警察であったり、機密事項の多い会社であったり、信用問題が問われる金融機関であったりする場合に限ります。もちろん例外もあります。小さな会社であっても、社長が入社する人物はクリーンな人物であってほしいといえば、依頼してくることもあるからです。
企業からの依頼であれば、探偵社は基本的にはお受けして調査をしますが、対象者や周りの人に探偵に調べられているということを悟らせるようなことはしません。調査の中には、対象者の周りの人への聞き込みを行ったりもしますが、その時もこちらの素性は明かさないため、バレないと言うわけです。
では、一般の方からの依頼の場合、お金を積めば誰の情報でも調べてくれるのか、というと、そこは探偵社によって線引きの違いはありますが、答えはNoです。
依頼人からお願いされる人物は、娘の夫となる人物であったり、息子の妻になる人物であったり、血のつながりのある人物というだけではなく、恋人だったり、元恋人だったり、近所の人だったり、思いを寄せている人物だったりと、バラバラです。
探偵社によっては、初めから第三者を対象者とする調査は行っていないと突っぱねているところもあります。
理由は、依頼人が犯罪を犯すために相手のことを知ろうとしている可能性があるからです。
ですが、依頼人がどういう目的で、その人物を調べようとしているのかということを聞いたうえで、判断してくれる探偵社もあります。
依頼人は、犯罪を犯そうとしているのではなく、例えば嫌がらせ行為を受けていたり、ストーカー行為を受けていたりして、その相手を突き止めたくて依頼している可能性もあるからです。
ただ、依頼人が被害者を装っているだけの場合もあるため探偵社側も、簡単には依頼人のことを信用しません。調査の途中でも、依頼人の言っていることと違うと感じたら、やめる場合もあります。
また、探偵社によっては、第三者の依頼をするときに「報告書の情報を使って犯罪行為はしない」というような、誓約書も一筆してもらっています。
犯罪を犯すための情報として使われた場合、その調査をした探偵社にも責任問題が発生するためです。
ただし悪徳探偵は、この限りではありません。無料相談をしている時に、第三者の依頼をしようとしているのに、「どういった目的で調べたいのか」を全く聞かれないという場合は、その探偵社には依頼をしないほうがいいでしょう。
それでは、探偵に調査を依頼することができた場合、どこまでのことがわかるのかということは気になりますよね。
信用調査、身元調査、素行調査でも出てくる結果が違うというのは、最初にお伝えしましたが、対象者の名前、年齢、現在住んでいる住所、出身地はどの調査で頼んでいても出てきます。
信用調査の場合ですと、基本情報の他に、これまでどんな仕事をしていたのか、どんな人との付き合いがあるのか、宗教の有無、周りの人とのトラブルはなかったのか、金銭的な問題は抱えていないかなどを報告書でまとめます。
身元調査であれば、基本情報の他に、どんな趣味をもっているのか、家族との関わり方や家族の現在地、どんな人との付き合いがあるのか、普段はどういった生活をしているのか、現在の職場での態度や行動、近くにいる人たちから聞いた人となりはどうなのかなどを報告書でまとめます。
素行調査は、信用調査と身元調査でわかることを混ぜ合わせたものに近いといえます。その人の普段の行動を調査し、どんな人物なのかということを報告書でまとめます。
こんな風に、かなりプライベートなところまで踏み込んで調査をするため、依頼人が情報を悪用しないかどうかということを、探偵側も見極める必要があるということです。
ただふと、こんなことまでわかるなんて、探偵は法に反してないの? と、疑問に思った方もいるかもしれませんね。
探偵には探偵法というのが設定されており、調査をしてもいいという権利が与えられています。探偵と同じことを一般の人がおこなうと、「プライバシーの侵害」で訴えられてしまうので気を付けてください。
素人探偵は、探偵法のことを知らないために、探偵と同じ行動を取っているんだから、法に触れてはいないと思いがちですが、プロと素人では技術だけではなく、権利としても違うことを覚えておいたほうがいいでしょう。
また、どんな調査を依頼する時もそうなのですが、依頼人が知っている情報をなるべく多く探偵に伝えることも大事です。
全く知らない状態から調査を開始するのと、名前や住所、普段の行動などを知っている状態で調査を開始するのでは、後者の方が圧倒的に調査がしやすいため、調査の時間も減らすことができ費用も抑えられます。
依頼人が先に調べておく、ということはしなくてもいいですが、分かっていることがあれば探偵に伝えるようにしてください。そうすればお互いに利点のある、結果を早く出すことができます。