2019-06-06
第64回:《探偵》依頼人から不満の出ない探偵も世の中にはたくさんいる
「探偵」という看板を掲げるには、届け出が必要ですが、反対に届け出さえ出してしまえば、誰でも探偵になれるということです。
ただし、届け出を出しても受理されないこともあります。例えば、禁錮刑や同等の罪を犯し罰金を支払ってから、丸5年が過ぎていない人であったり、暴力団を抜けてから丸5年が過ぎていない人だったり、探偵業務の停止や廃業を直近5年の間に言われた人などは、届け出を出しても受理されません。
「探偵」が裏家業のように思っている方もいますが、裏家業ではなく、ちゃんとした職業と言えます。
ただ人の秘密を暴く職業のため、公にできないこと多く知っているため、「最近どんな仕事をしてるの?」と聞かれて、他業種のようにスラスラ答えられないのは確かです。
そんな「探偵業」なので、真っ黒という人は介入できませんが、グレーな人種は介入できてしまうため、悪徳探偵がはびこおっているのが現状です。ただ、誤解のないように伝えたいことは、正しい探偵と悪徳探偵であれば、圧倒的に正しい探偵の方が数が多いということです。
「悪いこと」というのはどうしても、被害者や被害者の周りの人が、こういうことがあった、こんなことをされた、ということを大勢の人に言いふらすため、一般の人の耳にも届きやすい性質があります。
そして「依頼してよかったー!」というようなことは、あまり周りの人には言わないものです。
理由は、依頼したこと自体を隠したい人が多いからです。
浮気調査や信用調査が依頼内容として多いものですが、どちらも公にしたいと思っている人は少ないでしょう。
ですが、「最近、夫が浮気しているようで…」というような悩みを友人に打ち明けたら、今までは何も言わなかった人も「実は私、前に探偵に浮気調査を依頼してね…」と、その人だけには伝えるかもしれません。
どんなに腕のいい探偵がいたとしても、他の職業のようになかなか一般的に広まっていかないのは、このせいなのです。
ここでも、さんざん悪徳探偵とは契約をしないようにと伝えてきましたが、まっとうな探偵も多くいますので、安心してください。
では、悪徳探偵でもない、腕のいい探偵とはどういうことを言っているのかを、今回はお伝えしますね。
■契約前
探偵とのファーストコンタクトは電話です。(最近はメールの人も増えましたが)
大手探偵社、大手興信所では、オペレーターが対応しています。個人探偵や小規模の探偵社では、そこの相談員、もしくは所長自らが初めから対応していることもあります。
電話で話をしている時に、依頼人の言葉を遮らずに、悩んでいることを丁寧に聞いてくれます。初めての電話で緊張している依頼人もいますので、緊張をほぐすようなことを言って、場を和やかにしてくれる人もいるでしょう。
その次におこなうのが対面相談です。この時点でも料金は発生していません。
清潔感のある探偵事務所に通されます。緊張している依頼人を安心させながら、契約の話は一切しません。とにかく、依頼人が何を思っているのか、何を悩んでいるのか、などを聞いてくれます。
場合によっては、単なる人生相談の場所になる可能性もあるでしょう。例え、そこで依頼人が泣き出したとしても、探偵は優しい表情で、依頼人が落ち着くのを待ってくれます。
相談したい内容がはっきりしたら、実際に依頼するかどうかという場面になり、探偵から料金や契約の内容について詳しい話をしてくれます。
これまでの調査報告書も見せてくれるため、実際に依頼した後にどんな成果物が渡されるのかも想像することができます。
ですが、この場面で、すぐに契約をしてほしいとは言ってきませんし、早く調査を始めないと手遅れになりますよ、というような脅しもかけてきません。
「調査はいつからでもできますが、料金は決して安いものではないので、本当に依頼するかどうかを冷静に考えてみてくださいね」というように、依頼人に契約するかどうか悩む時間を与えてくれます。
■契約後
契約を終えてからは、契約にのっとった方法で探偵が調査をし始めます。場合によっては、依頼人も調査がうまくいくように手助けをする場合もあります。
ですが、依頼人が嫌がることは強要してきませんし、依頼人に何も言わずに勝手な調査をしたりもしません。調査をしていて、当初の調査方法ではなく、他のやり方の方がうまくいきそうだと探偵が思えば、調査方法を変えていいかの相談を必ず依頼人にしてくれます。
その時に、調査方法が変わった場合に費用はどれだけ変わるのかも明確に言ってくれるので、それぐらいなら出せそうだと思ったらOKを出して新しい方法の調査をしてもらえばいいですし、料金が高くなりすぎると思ったらNGを出して、新しい方法ではなく当初の調査方法で調査をしてもらうことができます。
その後、調査を行うたびに、中間報告が電話やメール、対面など依頼人が望む形で探偵が行ってくれます。
調査が終了すると、契約前に見せてくれていた調査報告書と同じ形式のものを渡してくれます。裁判などの証拠として使う場合には、裁判の時に有効になるような資料もキチンと出してくれるでしょう。
依頼人が調査報告書に納得すると、探偵は精算をして最終的な料金を伝えてくれます。経費は実費という探偵もいますので、もしかすると当初よりも少し料金が高くなっているかもしれませんが、依頼人がどうしてこんなに値段が上がったのかを聞くと、ちゃんとした答えを返してくれます。
依頼人が納得して料金を支払えば、それで終わりという探偵社もありますが、アフターケアをしてくれる探偵社もあります。
例えば、腕のいい弁護士を紹介してくれたり、カウンセリングをしてくれる人を紹介してくれたり、などです。
ただ、依頼人が必要ないと思えば、一度断ればしつこくは言ってはきません。探偵はあくまで、依頼人が困っていないかどうかと心配して他業種の人を紹介しようとしているだけだからです。
というような一連の流れが、正しい探偵のありかたです。
こんな探偵が、世の中にはたくさんいます。探偵それぞれに個性があるので、一般的流れとは異なっている探偵社もあるかもしれませんが、依頼人を不快にさせるような探偵ではありません。
探偵に依頼する方が、気持ちよく依頼できる世界になるよう微力ながら少しでも悪徳探偵を減らしていこうと考えています。